医療法人社団明和会
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見晴らしの良い海沿いという好立地、また、医療サービスも充実しているので、快適にお過ごしいただけます。
昨今、少子高齢化や人手不足による介護現場の業務逼迫が問題視されている中で、ICT見守り機器をつかった組織改革が注目を集めています。ICT見守り機器の導入が介護職員の業務負担軽減に影響することはすでに実証がされていますが、職員の働きがいや業務の生産性向上にはどのように影響するのでしょうか?
広島県のサービス付き高齢者向け住宅 さくらす大野様では、その疑問を解決するために「まもる~の」をつかった実証研究を実施。検証前後でいろいろな興味深い変化が見られました。その変化を無料配布している活用レポート資料より抜粋してご紹介いたします。
「まもる~の」はベッドに設置するタイプの見守り機器で、ご利用者の脈拍・呼吸、在床状況、睡眠の質、居室環境をセンシング、グラフや数値としてPCやスマートフォンアプリにリアルタイムに表示します。
あるご利用者のケースで、80代女性で認知症疾患のある方がいらっしゃいました。デイサービスが休みの日は落ち着きがなく、汚れたままの衣類をタンスにしまってしまい、「眠れない」とおっしゃられておりましたが、実際の自室内の生活の様子や生活リズムは不明の状況でした。
しかし、「まもる~の」を設置後、データを分析したところ、就寝や起床のリズムは一定で、夜間のトイレ回数も1回程度でよく眠れていることがわかりました。さらに、デイサービスが休みの日は、昼間長い時間をベッド上で過ごし、寝ていらっしゃることがわかったのです。
この結果をもとにカンファレンスを行い、日中の活動量の増加、自立した生活を支援するためのケアの改善を実施。具体的には、デイサービスの利用日数を増やす。不眠の訴えはデータをもとに訴えを傾聴、眠剤は使用しない。洗濯は洗濯機の操作のみ支援し、干す、畳む家事を自立できるよう援助する。これらをチームの共通認識とし、一貫したケアを提供した結果、ご利用者の生活リズムが安定し、活動意欲の向上が見られ、さらに不穏による訴えが軽減していきました。
介護の現場では、ご利用者の変化の背景を推測したり、異変をいちはやく察知したりと、実際に手や体を動かして培った推察力や観察力がよりきめ細やかなケアへと影響していきます。
職場での様子や個別面談の結果から、「まもる~の」導入前は新人・中堅職員はベテラン職員に比べて、介護の経験が浅いため自己肯定感が低く、言動も控えめで積極的な発言や提案が少ない様子が見られました。しかし、導入後、新人・中堅職員はデジタル操作に慣れているという強みを活かし、データを積極的に介護に活用することで、問題意識が高まり提案やチャレンジ行動が増えていきました。
一方で、一時的にベテラン職員の方々のモチベーションが下がるという結果が見られました。これは、新人・中堅職員の方々のアセスメント力が「まもる~の」のデータを活用することで高まり、ベテランの方々に近しい判断ができるようになったためであると考えられます。これまで経験値で力を発揮していたベテランの職員の方々の優位性が、経験値の部分をデータ化してしまうことである意味で損なわれたということです。
しかし、ベテランの方々が長年培ってきた経験に基づいたアセスメントと熟練した介護技術は、中堅や若手にとってお手本になる存在であることには変わりません。ベテランの方々は、データを活用することでより指導者として価値を発揮できるようになり、データに裏付けをされた「適切なケア」を証明することができるようになると考えています。そのため、ベテラン職員のモチベーションの低下は一時的なものであり今後はもとに戻っていくと考えられます。
導入前後で、職員の方々の働きがいは大きく向上する結果となりました。
簡単なアンケート入力で数値やグラフの資料をダウンロードいただけます。
これは、新人・中堅の介護職員の方にとっては、データを見ながら「自分自身のケアのあり方」と「ケア改善によるご利用者の変化」を体感することができるため、やりがいに繋がったと考えられます。また、「まもる~の」の活用によるご利用者の生活把握、カンファレンスによる議論によるチームビルディングの2点が全体の「やりがい」向上へと繋がりました。
さらに、「まもる~の」を活用しつつ、チーム全体のオペレーションを変更したり、ケアのポイントをチームで共有することで、働きやすさが向上したと考えられます。
「まもる~の」導入の影響は、業務量にも見られました。当初はICT見守り機器導入と業務整理により直接業務の増加を予測していましたが、かえって直接業務は減少したのです。これは、ICT見守り機器導入により、入居者の行動に合わせたタイミングのよいケアが可能になったことが影響しています。
たとえば、排泄介助では、入居者が起きて離床すると「まもる~の」が反応し通知するため、そのタイミングで介助に入ることができます。導入前は、介護士が排泄の時間に声をかけても入居者が拒否してしまい、後で介助に入るなどムダになる時間がありました。ICT見守り機器導入により効率的なケアの実施が可能となり、生産性の向上につながったと考えることができます。
間接業務では、十分に実施できていなかった職員間の報告やカンファレンス、事務業務、居室外の環境整備などを実施できるようになりました。業務量調査実施後に課題を分析した結果、マニュアル化されていない内容が多く属人化していることも明らかになったのです。そこで、直接業務が減少したことによって生まれた時間で、業務内容のマニュアル化などを実施することができました。
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